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脊髄の後遺障害

脊髄損傷の後遺障害

交通事故により、脊髄に外力が加わり、浮腫・出血・圧迫、挫傷、断裂等が生じると、脊髄の伝導機能に障害が発生し、身体に麻痺、つまり運動、感覚機能の障害が生じます。

場合によっては、永久的な麻痺が残ることもあり、その程度に応じて、完全麻痺と、不完全麻痺(部分的に機能が残る麻痺)とに分けられます。脊髄のうち、頚髄が損傷を受けると、四肢に感覚・運動障害が生じます。また、胸髄や腰髄の損傷の場合には、両下肢に機能障害が生じます。

時には、これらの障害に自律神経障害も加わって、循環器障害、消化器障害、呼吸障害、排尿障害が生じることもあります。


1.脊髄損傷の特徴

① 上位頸椎部(第1頸椎~第3頸椎)の脊髄損傷の場合

致命傷となり、救命措置が最優先されます。

この場合の全身症状としては、呼吸障害(人口呼吸器の装着必要)、失神感やめまい、 循環障害(血圧低下、徐脈、循環血流量の減少、静脈環流障害、全身浮腫、肺水腫)、四肢麻痺などがあります。


② 中・下位頸椎部(第4腰椎~第1胸椎)の脊髄損傷の場合

感覚、運動機能の完全麻痺などが生じえます。


③上・中位胸椎部(第1胸椎~第10胸椎)の脊髄損傷の場合

呼吸障害、四肢麻痺、胸郭運動障害などが生じえます。


④ 胸腰椎移行部(第11胸椎~第2腰椎)

脊髄損傷が特に発生しやすい部位です。この場合は、両下肢の完全麻痺、膀胱直腸障害などが生じえます。


⑤ 腰椎部(第2腰椎~仙椎)の脊髄損傷の場合

両下肢の運動障害などが生じえます。


2.脊髄損傷の診断と後遺障害等級認定

診断には、多種多様な検査が行われます。

具体的には、単純Ⅹ線、CT、MRIによる画像診断、神経学的診断(腱反射テスト、徒手筋力テスト、筋委縮検査、知覚検査、手指巧緻運動検査など)、電気生理学的検査(脊髄誘発電位、体性感覚誘発電位)などがあります。

これらの検査の結果、後遺障害の存在が裏付けられれば、後遺障害として等級が認定されます。認定は、身体的所見や、検査結果等によって裏付けられる麻痺の範囲や、麻痺の程度に応じて、1級から12級までの範囲で決定されます。

このように、脊髄損傷は、症状も程度も多様です。後遺障害の等級としてどの程度が認められるかは、検査の結果、及び診断書の記載に大きく左右されます。

そのため、適切な検査を受けることが極めて大切ですし、また、医師に後遺障害診断書を作成してもらう際、自らの症状について、ポイントを押さえて適切に説明し、記載してもらう必要があります。この点に関しては、経験のある弁護士が十分お手伝い可能です。